今年1月に千葉県野田市立小4年、栗原心愛(みあ)さん=当時(10)=が両親から虐待を受け、死亡した事件について、県検証委員会は平成29年8月~31年1月の期間で32項目の課題を指摘した。報告書では、野田市の担当部署や県柏児童相談所の対応のミスが重なり、心愛さんがSOSを発していたにもかかわらず、対応を修正することなく漫然と推移した経過が浮き彫りになった。児童虐待事件では非常に珍しく、被害児童の心愛さんが虐待の事実を小学校に訴えていたにもかかわらず、心愛さんの命を救えなかった結果を招いたことを報告書は「何としても守られるべきだったし、救える命であった」と強調。この指摘を県や野田市の関係者は重く受け止めなければならない。
また、母親に対するドメスティックバイオレンス(DV)の兆候に対する不十分な対応も大きな問題点だった。児童虐待事件では、家族へのDVが密接に関連していることは多く、過去の児童虐待事件後に当時の県検証委が取りまとめた報告書でも「DVへの理解促進」を平成25年と30年に提言している。それでも、今回もDVが絡む事件で被害を防ぐことができなかった結果は重大と言わざるをえない。
報告書は「本検証で示した提言について着実に実行し、体制の強化と援助の質を高めることを求めたい」と締めくくっている。
県では重大な児童虐待事件が起こる度に第三者による県検証委が報告書を取りまとめ、改善策を示してきた。今回の報告書を各市町村や児相の職員が現場でしっかり活用し、今度こそ再発防止につなげられるかが問われている。(永田岳彦)
【関連記事】
Source : 国内 – Yahoo!ニュース